【検証】ドラレコの駐車監視でバッテリーの寿命はどれくらい縮むのか?

こんにちは!ドライブレコーダー専門家で「車とカー用品の研究室 LaBoon!!」編集長の鈴木朝臣です。

ドライブレコーダーの駐車監視機能は、当て逃げやイタズラ対策として人気がありますが、長時間の駐車監視を日常的に運用すると、バッテリーの寿命が縮む恐れがあるのはよく知られた話です。

このような事情から、LaBoon!!では日常的に長時間の駐車監視を繰り返す方には、駐車監視専用の外部バッテリーをおすすめしています。

過去に長時間の駐車監視を繰り返した結果、新車から半年でバッテリー交換を推奨されたというご報告を何件か頂いてはいるのですが、今回は新品バッテリーを使って長時間の駐車監視を繰り返すと、どれくらいの勢いでバッテリーの性能が落ちて行くのかを検証してみました。

テスト環境と方法について

今回テスト用に用意したのは、新品のカオスバッテリー「N-60B19L/C7」です。(そんなに大きくない、比較的リーズナブルなサイズです)

容量は12V/36Ah/432Whで、新品時のCCA値は中華チェッカーで計測した結果では375Aでした。

なぜ、このバッテリーを選んだかというと、2018年11月の交換したコペンで2年半使っていたバッテリーと同じ物にして、劣化具合を比較したかったからです。

テストに選んだドライブレコーダーはコムテックの「ZDR037」、360°+リアカメラの4W機です。

テストの手順

テスト開始日は2021年6月14日、テストの手順はこちらの通りです。

①ドラレコでカットオフ電圧を最低の11.7Vに設定し、バッテリーが満充電の状態からカットオフで停止するまで延々と「常時録画+衝撃検知」の駐車監視を行う
②連続駐車監視時間を計測し、CTEKのバッテリーチャージャーで満充電にする
③中華バッテリーチェッカーでCCA、SOHを計測する

※実際の車両では暗電流もありますので、その環境に近付ける為にこのバッテリーを使ってドラレコ以外に30mA程度のLEDを常時点灯させています。

この①~③を延々と繰り返し、連続駐車監視時間、CCA、SOHでバッテリーの劣化具合を判断します。

※CCAはバッテリーが瞬間的に出せるパワー、SOHはバッテリーの健康度の目安です。

新品と2年半使用したバッテリーの性能比較

なお、参考までにこのバッテリーの新品状態での各種数値と、テスト直前にコペンに積まれていた2年半使用済みの同じ型番のバッテリーの数値の比較はこちらの通りとなっています。

N-60B19L/C7駐車監視時間CCASOH
テストする新品97時間375100%
2年使用済み53時間35087%

※この2年半使用済みのバッテリーを積んだコペンでは駐車監視はしてません。あまり乗らない車でしたが、バッテリーの充電量が60%を割らないように充電器で管理してました。

因みに今回使用した中華バッテリーチェッカーの精度については、過去にアルファードのバッテリーでディーラーで使用されているものとの数値を比較した事がありますが、CCAとSOHにかなりの誤差がありました。

この中華チェッカーでは、CCAもSOHも実際の数値よりも高めに表示される傾向が強いようです。

ただし、今回のテストではCCAとSOH以外にも、駐車監視の持続時間も合わせて計測している為、新品状態からの劣化度はこの数値で把握出来るでしょう。

半年間後の経過

2021年6月にテストを開始してから、半年が経過した時点での途中経過報告です。

この間の計測回数は66回となりました。

駐車監視持続時間

まずは駐車監視持続時間からです。

こちらは初回の97時間の次が、75.5時間と急激に数値が下がっていますが、これはおそらくCTEKの充電器の過充電防止機能によるものと考えられます。

本来の100%まで充電するとバッテリーの寿命が短くなる可能性を考慮して、このような制御となっているように考えられ、3回目の62時間に下がって以降はなだらかに持続時間が下がっていますので、スタート地点を62時間と考えた方が良いかも知れません。

66回目の持続時間は24時間でしたので、3回目の62時間の39%程度の持続時間となっています。

満充電に掛かる時間は新品時とそれほど変わらず、充電速度も落ちているようですので、このくらいの劣化具合になると、充電する為の走行時間の確保が難しくなってくる可能性が高いと考えられます。(1時間走って3時間しか駐車監視が出来ないなど)

バッテリーの健康度SOH

次にバッテリーの健康度を示すSOHでは、このような結果となりました。

66回目では57%まで低下していますが、チェッカーで要交換の警告が出たのは70%未満となった46回目からです。

この時の持続時間は29時間、CCAは310A、累計の駐車監視時間は1,847時間でした。

仮に毎日12時間の駐車監視を行い11.7Vまでバッテリーの電圧を落とし、翌日にその分を充電するという運用を前提とした場合、142日で要交換の判定が出ますので5ヶ月は持たないという事になります。

エンジンの始動に必要なCCA

CCAについては375A→285Aとそれほど大きな低下は見られませんでした。

バッテリー上がり=エンジンが掛からない事態は、このCCAが車種ごとのセルモーターを回すパワーを下回る事で発生しますが、66回のテストが終わった後でも満充電の状態であれば問題のない数値の様に思います。

ただし…66回のテストが終わった段階での持続時間は23時間、放電量は138Ah程度しかありませんので、これは2~3週間車に乗らないとバッテリー上がりを起こす数値とも言えます。

まとめ

以上、ドラレコの駐車監視によるバッテリーの劣化度チェックの途中経過でした。

2年半コペンで使ったバッテリーのSOHは87%でしたが、13回目のテスト(累計776時間)で既に84%まで落ちていましたので、駐車監視で電圧を落とすのはかなりバッテリーの寿命を縮めている事が分かりますね。

駐車監視によるバッテリーの劣化が気になる方は、ドラレコ用の外部バッテリーを使用しましょう。

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補足:重要なのは走行時間と監視時間のバランス

コメント欄でご質問を頂いたので基本的な考え方を追記します。

こちらのテストでは、1日〇時間ではなく、カットオフ電圧を設定し、そこまで電圧が下がるまで録画→満充電を繰り返した結果、1847時間だったと言う事です。

カットオフ電圧まで低下させない程度の走行時間が確保出来るなら、これよりも劣化が遅くなり、逆に走行時間が短過ぎて5~6時間でカットオフ電圧に達するような使い方では、これよりも劣化が速くなります。

基本的な考え方です。
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以下の要素が分かれば概ね予測可能です。

①ドラレコの消費電力(N4なら4W)
②駐車監視時間(例えば4時間)
③走行時間(例えば1時間)
④補器バッテリーの充電性能(例えば24W/12V×2A)

この場合以下の計算が成り立ちます。

・4W×4h=16Wh(駐車監視に必要な電力量)
・24W×1h=24Wh(補器バッテリーへの充電力量)

24Wh-16Wh=8Wh(余る充電力量)

走行時間が30分だと12Whしか充電されないので足りません。
一度充電が足りないサイクルにハマると、これがずっと続くのでバッテリーの劣化が速くなります。
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因みにバッテリーの一般的な寿命は3年と言われていますので、駐車監視をしなくても3年で交換時期となっても不思議ではありません。
深放電を繰り返す、または残量が少ない状態を維持すると劣化が速くなります。

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