こんにちは!ドライブレコーダー専門家で「車とカー用品の研究室 LaBoon!!」編集長の鈴木朝臣です。
最近のドライブレコーダーは駐車監視モードがサポートされている製品が一般的になっていますし、これは確かに当て逃げやイタズラ対策として有効な機能です。
私も複数の車でドラレコの駐車監視機能を使っていますが、このドラレコの駐車監視機能には見過ごせない大きなデメリットがあるのも事実です。
そこでこの記事ではドラレコで駐車監視を検討されている方向けに、ドラレコの駐車監視のデメリットについて解説します。
駐車監視のデメリットは主に2つ
ドラレコの駐車監視の主なデメリットは次の2つです。
次にそれぞれのデメリットの詳細と解決方法について解説します。
バッテリーの寿命が縮み、バッテリー上がりを起し易くなる
ドライブレコーダーの駐車監視モードは、エンジンから電力が供給されない駐車時に車の鉛バッテリーの電力を使用して動作します。
バッテリーの指定容量は車種によって異なりますが、標準的な車であれば400~600Wh程度の容量となります。
このWh(ワットアワー)は聞きなれない言葉かと思いますが、電力量を表す単位で、1Wの電力の製品を1h(1時間)使用し続けるには、1W×1h=1Whの電力量が必要になります。
駐車監視をしなくてもバッテリーは上がる
因みにドラレコの駐車監視を行わずとも、長期間車を動かさない状態を続けるとバッテリーが上がると言う話を聞いた事があろうかと思います。
電装品を使っていないのになぜバッテリーが上がるのかと、不思議に思うかも知れませんが、鉛バッテリーには一定の自然放電があります。
また、最近の車はコンピューター類の制御が複雑になっており、駐車時にもある程度の電力を必要としますので、0.3W程度の電力がバッテリーから供給され続ける事になります。
これは24時間では7.2Wh、30日では216Wh程度になりますので、2ヶ月動かさなければ400Wh程度のバッテリーではエンジンの始動が不能になるレベルです。
駐車監視をするとバッテリーが上がり易くなる
2カメラ以上のドライブレコーダーの駐車監視モードでは、これに加えて4~8W程度の電力を消費しますので、仮に省電力の4Wの機種であったとしても、暗電流と合わせて4.3Wの消費電力になります。
これを24時間続けた場合には103.2Whの電力を消費してしまい、数日でバッテリーの容量が尽きてしまいます。
駐車監視にはバッテリーの保護の「電圧カットオフ」機能もあるが
前述のように延々とドラレコの駐車監視を継続すると、バッテリーが上がり易くなってしまいますが、これを防止する為にドラレコにはバッテリーの減り具合を検知して自動的に電源を落とす機能があります。
車の鉛バッテリーは新品で満充電の状態であれば、車の発電機から充電されていない状態でも13V台前半の電圧を示します。
一方で駐車監視などでバッテリーの蓄電量が減った状態では11V台まで電圧が落ち、さらに電圧が低下するとエンジンの始動が不可能になります。
ドラレコのバッテリー保護機能は、この電圧を検知してバッテリーが上がる前にドラレコの電源を落とす事から、「電圧カットオフ」機能と呼ばれています。
ドラレコの黎明期に当たる2016年頃にデビューした機種では、このカットオフ機能の最低値が11.6Vなどに設定されていた為、各所で駐車監視よるバッテリーが上がりが報告されていましたが、最近では最低値を12Vに修正するなどしてバッテリーの保護機能を強化した製品が増えています。
バッテリーは上がりにくくなったが、バッテリーの寿命は縮む
各社のドラレコが従前よりもカットオフ電圧を高めに調整した事から、以前に比べて駐車監視によるバッテリー上がりのリスクは軽減されてはいるものの、放電・充電を繰り返す事でバッテリーの寿命は確実に縮んで行きます。
LaBoon!!の検証では、毎日12時間の駐車監視を想定した負荷をバッテリーに掛けて満充電に̪すると言う動作を繰り返した結果、142日目で要交換の判定が出るまでバッテリーの性能が低下しました。
バッテリーは上がりにくくなったが、駐車監視の持続時間が短くなる
また、前述の「電圧カットオフ」機能により、バッテリーの深放電は避けられるようになったものの、その分カットオフのタイミングは早まり、結果として想定した時間の駐車監視の継続が難しくなっているのも事実です。
安定して駐車監視を持続させる為には、外部バッテリーの使用がおすすめ
鉛バッテリーの寿命を縮めずに、なおかつ長時間の駐車監視を安定的に持続させる為には、ドラレコ駐車監視用の専用バッテリーの使用がおすすめです。
モバイルバッテリーで駐車監視の運用が可能なドラレコもありますが、モバイルバッテリーを車内に放置して発火した車両火災事例の報告が相次いでいます。
このような車両火災のリスクを考えると、車内でのモバイルバッテリーの使用はおすすめ出来ません。
HV車などでも使用されている電池を使用した、ドラレコ専用の外部バッテリーを使用した方が安全です。
ドライブレコーダーの寿命が縮む
バッテリーの寿命の問題以外にも、電子機器であるドラレコ側の耐久性の問題についても考える必要があります。
ドライブレコーダーの寿命は、中華製であれば1~3年、日本メーカー製であれば1~5年程度が目安となろうかと思われますが、これは使用環境によって大きくバラツキが出る可能性が高いと考えられます。
1日に1時間しか使わないドラレコと、12時間使うドラレコでは、ハードウェアの各バーツに掛かる負荷が12倍になりますし、ガジェット類は熱にも弱いので夏場に長時間の駐車監視を行う場合には、microSDカードの書き込み端子部分の寿命が大きく縮む事が考えらえます。
このような事情を考えた場合には、ドラレコは可能な限り保証期間が長い製品を選んだ方が良いと言う事になります。
ただし、保証期間が長い日本メーカー製のドラレコは、性能面で多カメラの中華ドラレコに劣りますので、この辺りは性能を選ぶのか、耐久性を選ぶのかで意見が分かれるところです。
私自身はもともと趣味でドラレコを扱っていた人間なので性能重視ですし、ドアパンチ対策なども考慮するとそれなりにハードウェアへの負荷が大きい製品を選ばざるを得なくなるのも事実です。
2015年に趣味が高じて、車とカー用品の研究室 LaBoon!!の運営をはじめました。
現在では自分が使いたいガジェットの商品企画・開発・販売も手掛けています。
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